VPSで動かすメリット・デメリット
OpenClawをXserver VPSで動かすことは、中小企業にとって最もコストパフォーマンスが高い選択肢です。ただし、メリット・デメリットを理解した上で導入しましょう。
メリット:
- 初期費用が安い: 物理サーバーを買う必要がなく、月額1,000円台から始められる
- スペック変更が柔軟: 業務拡大でメモリ不足になっても、プラン変更で即座に対応可能
- 固定IPが標準: 外部からのアクセス設定(IP制限・SSL証明書)が簡単
- バックアップ機能: スナップショット・自動バックアップが標準装備
- 24時間稼働: 社内サーバーと違い、停電・ネットワーク障害のリスクが低い
デメリット:
- 月額コストが継続: 年間2.6万円〜5.3万円のランニングコスト(プランによる)
- 管理負荷: サーバー構築・Docker管理・ファイアウォール設定を自社で行う必要がある
- プロバイダ依存: Xserverのインフラ障害時は復旧を待つしかない
- データの物理的所在: 厳密には「完全自社管理」ではない(Xserverのデータセンター内)
必要なスペック目安
OpenClawのスペック要件は、「何業務を同時に動かすか」「Claude APIの呼び出し頻度」によって大きく変わります。Xserver VPSのプラン別に推奨用途をまとめます。
| プラン | スペック | 月額料金 | 推奨用途 |
|---|---|---|---|
| 2GB | CPU 3コア メモリ2GB SSD 50GB |
¥1,150 | テスト環境・1業務のみ |
| 4GB | CPU 4コア メモリ4GB SSD 100GB |
¥2,200 | 小規模導入(1〜3業務) |
| 8GB | CPU 6コア メモリ8GB SSD 100GB |
¥4,400 | 本番推奨(3〜5業務) |
| 16GB | CPU 8コア メモリ16GB SSD 100GB |
¥9,750 | 複数チーム利用・高頻度実行 |
判断基準:
- メール仕分けのみ: 4GBプランで十分
- メール + Slack FAQボット: 4GBプランで可、8GBが安心
- メール + Slack + Sheets集計 + Calendar: 8GBプラン推奨
- 5業務以上 or 1分ごとに実行: 16GBプラン
ストレージ: 標準の100GBで、ログを90日保持しても十分です。1年保持する場合は200GB以上(カスタムプラン)を検討。
Docker構成で詰まるポイント
OpenClawはDocker環境で動かすのが一般的ですが、初めてDockerを触る場合は以下のポイントで詰まりやすいです。
「コンテナ内からGmail APIにアクセスできない」→ファイアウォールでOutbound通信がブロックされている。UFWで443番ポートのOutboundを許可しましょう。
「ログが保存されない」→Dockerボリュームのマウント設定ミス。docker-compose.ymlでホスト側のディレクトリを指定し、永続化が必要です。
「処理中に落ちる」→Dockerのメモリ制限がデフォルト(2GB)のまま。VPSのメモリに合わせて--memory=6g等で制限を緩和しましょう。
推奨Docker構成:
version: "3.8"
services:
openclaw:
image: openclaw:latest
container_name: openclaw
restart: unless-stopped
ports:
- "3000:3000"
volumes:
- ./data:/app/data
- ./logs:/app/logs
environment:
- TZ=Asia/Tokyo
- NODE_ENV=production
memory: 6g
cpus: 4
restart: unless-stopped: サーバー再起動時に自動起動volumes: ログ・DBを永続化TZ=Asia/Tokyo: ログのタイムスタンプを日本時間にmemory: 6g: VPSメモリの75%程度に設定(8GBプランの場合)
Gmail・Slack連携の落とし穴
VPS環境でGmail・Slack連携を設定する際、ローカル開発と異なる注意点があります。
OAuth認証のリダイレクトURI:
- Google Cloud ConsoleでOAuth 2.0クライアントを作成する際、リダイレクトURIにVPSの固定IP(またはドメイン)を指定する必要がある
- 例:
https://123.456.789.012/callbackまたはhttps://your-domain.com/callback http://localhostは本番環境では使えません
トークン管理:
- Gmail・Slackのアクセストークンは環境変数または暗号化ファイルで保存
docker-compose.ymlにトークンを直接書くのは危険(Gitコミット時に漏洩リスク).envファイルに記載し、.gitignoreで除外が鉄則
トークンのリフレッシュ:
- GmailのOAuthトークンは1時間で期限切れ→リフレッシュトークンで自動更新する設計が必要
- Slackのトークンは基本的に無期限だが、アプリ削除で無効化される→エラー時の再認証フローを用意
運用コスト(API課金)に注意
VPSの月額料金以外に、Claude API・OpenAI APIの従量課金がかかります。予算オーバーを防ぐため、API利用量の管理が重要です。
Claude APIの料金(2026年2月時点):
- Claude 3.5 Sonnet: 入力$3 / 100万トークン、出力$15 / 100万トークン
- Claude 3 Haiku: 入力$0.25 / 100万トークン、出力$1.25 / 100万トークン
- 日本語は英語の約2倍のトークン数になるため、実質的なコストは2倍と考える
月額コストの目安:
- メール仕分け(1日100通): 月額¥1,000〜3,000
- Slack FAQボット(1日50質問): 月額¥2,000〜5,000
- Sheets集計レポート(毎日実行): 月額¥500〜1,500
- 合計: 3業務で月額¥3,500〜9,500程度
使いすぎ防止策:
- 1日の実行回数上限: 「メール仕分けは1日3回まで」等の制限を設定
- API使用量アラート: Anthropic・OpenAIの管理画面で「月$50以上」等のアラート設定
- ログ分析: 週次でAPI呼び出しログを確認し、無駄な処理を削減
- Haikuモデル活用: 単純な分類タスクは安価なHaikuモデルで処理